余り嬉しくない人から、一晩に3度も電話を頂戴した。

 日ごろから、電話の応対は相手が見えないだけに、かなり気を遣って喋るようにしてきた。
直接向き合って喋ってる分には、かなりきつい言葉であっても、顔が笑っているとか、目が優しかったりとか、表情が分かるけど、電話は、ちょっと間違えれば取り返しのつかないこともあるわけで、かなり、注意して穏やかな物言いをするように心がけていた。

 そんな私が、突然に、きつい言い方を大声で、言ったものだから、隣に居た主人が驚きのまなざしを向けた。
どだい、昼間ならいざ知らず、主人の居る夜の時間帯に、私の友人なら、電話はしてこない。
用事があるなら別だけれど、単なるお喋りなら、時間帯を考えてかけてくる。

 実は、彼女は【躁うつ病】にかかっている。 この病気のことは余り詳しくないが、真剣に彼女の病気と向き合っていくほどの心構えが無いならば、近寄ら無い方が無難だと、忠告を受けたことがある。
冷たい言い方だが、それほどの信念を持たない私は、出来ることなら彼女との付き合いは避けたかった。
事実、私のほうから連絡を取ったことは一度も無い。

 その彼女。寂しくなると電話をしてくる。
「○○さんの息子さんが、今度TVに出るのよ〜。見てあげてね〜」
「○○センターで、コーラスの発表会があるのよ。行かない〜?」
「美味しいランチのお店を見つけたの。行こうよ〜」

 せっかくのお誘いながら、私にとっては迷惑この上も無いことばかり。 丁重にお断り申し上げて、電話を切った。
と、ものの3分も経たないうちに、また電話が鳴る。
「あらっ! 又、かかっちゃった〜? 同姓同名の人が二人居るのよ。」
「私の名前は書体が珍しいのだから、何人も居るわけ無いじゃない〜? 息子の名前も書いておいてよ・・・」と、珍しく声高な私の電話に、家人も驚いている。

 そして、5分後。 又彼女から電話が。
「どうしたの。 又、間違えた〜?」
「うう〜ん。間違えてない。お喋りしたくて」
「・・・・・」

 私の生活に踏み込んでこないで〜! と、怒鳴りたいのを我慢して、しばし、彼女のお喋りに付き合った。
「あなたとも長いわね〜。25〜6年になるのかしら・・・」
年数が長ければいいってもんでもないでしょう・・・と、怒鳴りたいのを我慢するのが精一杯だった。

 友情なんて、年数に比例するものでもあるまいし・・・と、内心で毒づいてはみるものの、彼女は病気なんだ・・・と、気が重い。
彼女に向き合って、その病気と付き合ってあげるまで親しい人ではないし、さりとて、一方的とは言っても、頼ってくる彼女を突き放すことも出来ないし・・・。
彼女からの電話の後は、しばらくは悶々とした時間を過ごしてしまう。
どうしたものだろう。

 『大事な時間は好きな人と共有したい』をモットーにしてる私にとって、苦痛にしか思えない時間を、どうすべきか・・・。

 自分が、いかにも非人間のように思えてきて、気が滅入る。

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