まさか!

いつも見てるTVドラマ「スーツ」のマイク・ロスの恋人役の
人だったなんて…。

驚いた。

ロンドンへ行ってしまうと、もう、レイチェルは降板だろうか…。

12月から、最新作が見れるのに…。

ちょっと残念!(笑)

招待券を頂いたので、雨の中、新宿まで「海辺のリア」を見に行ってきた。

主演は仲代達矢氏。 御年84歳。
英国の俳優が、シェークスピアの作品を演じられるような役者を目指しているように、仲代氏もやはり、シャークスピアが目標か・・・。

半世紀以上にわたり、俳優として第一線を歩き、財を成した老父を、実の娘はホームに入れてしまう。
「悪党」と愛人からも呼ばれるほど、長女の態度には、肌寒い思いがする。
原田美枝子さんが演じている。
出演シーンはさほど多くないが、憎たらしいほどの演技力。
セリフもあまりなく、存在感だけを漂わせている運転手に小林薫氏。
贅沢な俳優の布陣だ。

認知と現実とのはざまに居る、老齢の父親。
ある日、ホームを抜け出し、海岸まで、たどり着く。
青い海と空に向かって、一人、海岸でのシェークスピアの中の「リア王」を演じ続ける父。
外に産ませたもう一人の娘(黒木華)をコーデリアに見立てて、演じ抜く。

私は、お芝居はあまり詳しくないから、仲代氏の演じるさまは何とも言いようがないが、滔々とセリフを述べまくる仲代氏には、畏敬の念すら感じた。
そして、認知の様は、見ていて、もの悲しかった。
人間、誰でも老いる。
誰しも、なりたくて認知になるのではあるまいに・・・。

認知と認知のつかの間の正常な時期、ふと我に返り、海に身を投げ出す。
あぁ~、と思ったとき、救いの手が。
コーデリアの次女だろうか・・・。
老俳優を慕い、弟子として仕えてきた、長女の婿。
優柔不断の婿を、阿部寛がいい味出していた。
ラストは、観客の考えに任せるような、歯切れの悪い終わり方だが、そこがこの映画の観点でもあるのかも・・・。

老いは誰しも、平等に降りかかってくる。
招待券を頂いたから…と、映画に誘われた。
有楽町のイトシア内だから、アクセスは良い。
雨かも…と、重装備で行ったのに、わずかながら陽も射してるような…。
期待もせずに行ったのに、いい映画だった。

アメリカ北西部の森で暮らす大家族の話だ。
父親のベンは独自の教育方針で6人の子供を育てている。
アスリート並みの体力と暖かい心と優れた才能を持つ子供たちだが、何処か世間とずれてしまった風変わりな一家。
弁護士だった仕事を辞めてまで、夫に共鳴してきた妻だったが…。
精神を病み、自殺を遂げる。
遠く離れた南に住む妻の両親は、風変わりな暮らしを強要した…と言って、娘を殺されたが如く婿を恨む。

子供たちの母の遺言には、キリスト教徒として、土の中に眠るのではなく、仏教徒として、焼いて欲しいと書かれていた。
が、一家をよそに、祖父母の意向で、葬儀は進められて、墓地に眠る。

「ママを救え!」

とばかり、一家は行動を起こす…。

父親の独裁的とも思える教育方針には、異論もあるだろうが、現代社会の中のゲームに夢中になってる子供たちとの対比が面白かった。
そして、劇中、子供たちが奏でる音楽が、澄んだ歌声と共に、素晴らしかった。

この映画は、初め、わずか4館ほどで上映されたのに、瞬く間に全米で600館ほどまで、拡大されていったそうだ。
数々の賞も取っている。
父親役の人は主演男優賞も獲得したとか…。

最後は、ひとところに落ち着いて、子供たちも学校へ通い、社会生活にも馴染んでいく。
彼らの能力が、今の社会で、どう生かされるのか…。

中々、奥の深い映画だった。

Shall we Dance?

2017年2月23日 映画
CSTVを何気なくザッピングしていたら・・・。
大好きなギアさまを発見!(笑)
先日、NHKでも、「愛と青春の旅立ち」をやっていたし、最近、ギア様dayか・・・。

私の好きなシカゴを舞台にした映画だ。
何と言うことのない電車が通っている街だ。
どろどろとしたシーンもなく、いたって、爽やか。
奥様役のスーザン・サランドンもお気に入りの女優さんだし。
なんか気になる、目力あるダンスの指導者も素敵だし。
彼女がジェニファ・ロペスと言うんだそうな。
名前は知っていたが、顔が浮かばなかった。

思わず、本格的に見入ってしまった。(笑)
日本の映画のリメイク版だそうな。
  
  リチャード・ギア = 役所広司

  スーザン・サランドン = 原日出子

  ジェニファ・ロペス = 草刈民代

ぴったり! よくも、それぞれの俳優さんをキャスティングしたものだ。

ラスト近く、奥様からプレゼントされた出で立ちで、ピシッと決めたリチャード・ギア。
深紅のバラが黒のフォーマルに良く生えて、見ていてドキドキした。(笑)
若いころの、「プリィティ・ウーマン」も格好良かったが、人生と共に、丸みと弱さを漂わせ、もっと渋くなって、一段と磨きがかかったか・・・。
高級化粧品売り場のチーフをしてる奥さまのところへ、真っ先に駆けつけるギア様。
目に涙を浮かべて、うっとりと見つめる部下ならずとも、胸キュンとなる場面だ。(笑)

  Shall we Dance?

全く、絵になる男だ!!
録画してあった、山田作品の「小さいおうち」を見た。
きれいな作品だが、一種の戦争反対映画だということ、知らなかった…。

大学生の健くんが、

「おばあちゃん! 嘘はいけないよ。 その時代は、戦争の真っただ中だから、もっと、
暗いのでは…」

と、おばあちゃんの手記を、いぶかしがるのも、不思議ではない。
たぶん、後世の人が、私を含めてだが、そう思ってるだけで、戦争がはじまったころの
日本の実際の街は、意外と、のんびりしていたのかも…。

銀座4丁目の、和光や三越はいまだ健在だが、昔の銀座のほのぼのとした雰囲気が懐かしかった。
子供のころ、銀座のフルーツパフェで、初めて食べた「ババロア」の味は、今でも覚えている。

小さなおうちの若奥様の、匂い立つような和服姿の美しさ。
よく、地域の婦人団体から、クレームがつかなかったと、不思議に思った。
よく、母から、

「袂(袖)が少しでも長いと、怒られたものよ!」

と、聞いていたから…。(笑)

それにしても、山田作品に出演する俳優さんの顔ぶれがみな、同じなのが面白い。
地震以来、電車に乗るのは3回目。
体のゆれ(めまい)は収まらないし、体調もあまり芳しくは無かったけれど、久しぶりの友人との会合は楽しかった。

人生を有効(?)に生きる為、5人の彼氏を持つOLのチエ。
笑うと、えくぼが出来て可愛らしい彼女だが・・・。
自己中で、高ピーで、粗暴な彼女。
かなり最悪の「性格○○」なのだが・・・。
意外と憎めない。(笑)
主演女優の吉高由里子嬢の演技力のたまものか・・・。

親友の結婚を期に、遊びから結婚へと目覚め始めたチエ。
5人の彼氏のメリット・デメリットを書き出し、査定に臨む。

No.1  出口道雄
    不動産屋の父を持つ、道楽息子。
    彼女の足となるオートバイは彼からのプレゼント。
    が、彼の多彩(?)な趣味には付き合いきれず・・・。

No.2  榎本孝明の三宅正良
    三軒もの美容院を経営する中年の実業家
    研修と称して、旅行に行くこともしばしば。
    ただし、奥さんに弱いのが玉に瑕。

No.3  加瀬亮の西尾みのる
    同じ営業職なので、話は合う。
    ×一の彼は、少し、消極的。
    別れた息子の写真を飾っていたり、百人一首が卒論のテーマだったりする。

No.4  野村健二
    イケメンの大学生
    付き合うのは可愛いけれど、数年後のチエの年齢が重荷かと・・・

No.5  浜野謙太の田無タクミ
    5人の中では最悪の条件だけれど、メリットは「楽」なこと

文字にすると、最悪な映画だけれど、見てるとそれ程の嫌悪感は沸いてこない。

ふざけるんじゃないわよ!
神聖(?)な結婚を何だと思ってるの。
二股ならず、五股だなんて・・・。

と、憤って居たのに、応援したくなるのは何故~?(笑)

最終は、意外な人物と結ばれて・・・。

偶には、こういうコメディも悪くない。(^-^)

    
    
レディース・デイということで、900円ポッキリで見れた。
銀座のど真ん中、和光の裏の映画館だ。
たまにしか来ないので、記憶は定かでは無いが、なにやら、以前より
綺麗になった模様。 見やすいシートの配置だ。


「格好いい人は、ジャージを着ても、格好いいのね♪」

一緒に見た友人の第一声だ。(笑)
小泉さんや可愛い子役君の演技は勿論、やはり、お父さん役の永瀬さんが圧巻だろう。
ラスト近くは、かなりの減量をしたようで、プロ根性を感じた。
高名な修行僧のような面構えに、役者の意気込みを感じた。

子役君の素直な演技に、思わず、涙が・・・。
今、もてはやされてる天才子役の、

 「私、上手でしょう?」

と言う、鼻につく演技と違い、二人とも、本当にいじらしい。
見事なまでの自然体の演技には惚れ惚れしてしまった。

そして、小泉さん!
「グーグー・・・」以来、欠かさず、彼女の演技を見てきたが、凄い!
あの、「なんてたってアイドル♪」の彼女が・・・。
全く、凄い!

今回、私が、一番印象に残ったことは、アルコール依存症の夫への、彼女の接し方だ。
怠け病とか、意思の弱いだらし無い性格とか非難されるが、これは家族の暖かな理解と専門の医師によって直さなければならない「病気」なのだということ。
なにやら、「躁うつ病」にも似てる様な・・・。

家族の理解と、簡単に言ってしまうが、さぞや大変だったことだろう。
明るく、前向きに生きている母さん!

じわじわと、心に浸透してくる良い映画だった。

武士の家計簿

2011年1月14日 映画
今年初めての「映画の友」との新年一発目は【武士の家計簿】。
(【相棒】に続き、今月二回目)
幕末のそろばん侍が映画になったのだ。

剣はからっきし駄目で、融通も利かず、只、真面目で不器用な侍が、
「そろばん」で、加賀藩に仕える。
なかなか、家族思いの猪山直之を境雅人さんが演じる。
奥さんのお駒を仲間由記恵さん。

時代劇だとばかり思っていたけれど、幕末のホームドラマと思ったほうがシックリ行く。
監督は森田芳光氏。 音楽は、どこかで(模倣犯)聴いたことあるな・・・と思ったら、やはり、
大島さんだった。
何処と無く、哀愁を帯びていて、耳に心地よかった。

堺さんの素直な演技が素晴らしく、祖母の草笛光子さん、父母の中村雅俊さんと松坂慶子さん。 岳父の西村雅彦さん。
仲間さんも初々しく、愛らしい。
それぞれがきっちりと自分の役を自然体にこなしていて、気持ちが良かった。

そろばん侍に疑問を持ちつつも、算術と筆を叩き込まれた息子。
後の新政府(明治時代)に貴重な人材として、登用される。
幕府方の加賀藩の出にもかかわらず、厚く嘱目される息子の成之。
敵味方の範疇を超えて、お国のために必要な人材を登用していく新政府。
それに比して、今のお国は・・・。 
一介の婆でさえ、この国の行く末を案じないわけにはいかない、今の現状だ。

ちなみに、この猪山ファミリーのお話。 石川県の加賀藩での実話だそうな。

相棒

2011年1月10日 映画 コメント (2)
家中、皆、【相棒】ファンだから、見逃すことは出来ないとばかり、息子夫婦と一緒に見てきた。

正直、肩が張った。

「長い映画ですので、パーキングの時間を一時間延長します」

と、窓口の人に無料駐車券を訂正して貰ったほど、長かったらしいのだが、長さは感じなかった。
只、極度の緊張感が続いていて、肩が凝ったのだ。(笑)

初めの頃の、及川君が神保さんとシャワーを浴びるシーンは、ちょっと息抜きのサービスシーン(笑)か・・・。
及川君のすらりとしたシルエット(スーツ姿)は、小母様族の心をくすぐるかも・・・。(笑)
密偵(?)まがいに送り込まれた「特命係」の部署で、だんだん、水谷流に染まっていく及川君が素敵だ。

今回の映画は、デフォルメされたドラマなんだ・・・、実際は多分、違うだろう・・・と分かってはいても、巨大な組織の力に肌寒くなってくる。

それにしても、豪華なキャストの顔触れだ。
中華街の謎の女性の江波杏子さんにしても、亡くなった刑事の母親にしても、ワンシーンにしては勿体無いほどの豪華な配役だ。
そこも、【相棒】の良さだろうか・・・。

ラストは、ちょっと衝撃的だけれど、言ってはルールに反する。(笑)
それにしても、これだけ観客動員数を記録していながら、ちゃんと守られてると言うこと、相棒ファンは「さすが!」と、感心させられた。

それにしても、亀山刑事の影が、何処にも見られないのは、ちょっと、寂しい!


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予告編で見た、【RED/レッド】が面白そう♪
ブルース・ウィリスを初め、5人の引退した凄腕スパイの面々。
若い者に負けはしまい・・・とばかりの活躍に胸がスカッとする。
紅一点のヘレン・ミレン。 存在感ありそうな老女スパイ。
絶対に、見に行く♪(笑)

「カモメ食堂」「めがね」などの一連の小林聡美さんの映画だ。
今回は、小泉今日子さんも加瀬さんも出てると言うことで、見に行った。

相変わらず、不思議な世界。
何処にでもありそうで、けれど、絶対にありえない、普通の日常が綴られている。
台詞の無い、小鳥や風の音だけの静かな画面が続く。
観客も、画面の中に入り込んでしまうような錯覚。

 【まったり、ゆったり、癒しの時間】

都会のストレスから、解き放たれるような、安らぐ気持ちになってくる。


ウィスキーしか出さないバーのママの小林聡美。
珈琲を淹れる事を自ら楽しんでる、珈琲店主の小泉今日子。
自分が好きだから作っているお豆腐屋の市川実日子。
純粋な少年の心を持ち続けながら青年になってしまった加瀬亮。
そして、老人パワー炸裂のもたいまさこ。
お風呂屋の店主と若い青年と赤ちゃん。

京都の木の温もりのある民家と川を舞台に、日常の営みが過ぎていく。
でも、これは観客一人一人の心の中に存在する街でもある。


この手の映画は、極端に「好き」「嫌い」が、はっきり分かれるものだが、私は【好き♪】。

ただ、加瀬さんのような爽やかな青年に、かなり年長の小林さんが「○○子さん!」と呼ばれるのは反則(?)でしょう。
少なからず、嫉妬の炎が・・・。 アハハ・・・♪(笑)

良い映画だった。
久しぶりに映画を見てきた。

芥川龍之介の同名の小説にインスピレーションを得て、現代の台湾に舞台を置き換えた。
「少年の成長」と「家族の絆」をテーマに描いた映画だ。
主演の未亡人役の日本女性を尾野真千子が演じる。
映画は余り詳しくないので、私にとっては始めてみる女優さんだった。
吹き替えでなく、自分で喋っているのだろうが、中国語が綺麗に感じた。

「義姉さんの中国語は、兄さんと似ているな・・・」

と、義弟から言われてはにかむ兄嫁。
初々しい女優さんだ。


8歳の敦(あつし)と6歳の凱(とき)の兄弟は、台湾人の父と、日本人の母の元、何不自由なく育った現代っ子だ。
夜、床に入るときも、片時も、電子ゲームを放さない。

父親の急死により、遺骨を郷里の家族に届ける為、初めて、息子二人を連れて台湾の郷里に行く。
台湾の郷里は、林業を生業としている素朴な山村だ。
戦前、日本人として徴用され、働いてきた祖父。
片言の日本語で、孫との交流が続く。

若い母親が一人で、息子二人を育てていくのは大変なことだ。
知らず知らず、ストレスが、長男の敦に小言となって跳ね返ってくる。
拗ねたような、切れた目つきで母親を睨む、8歳の敦。
最近の子役は、大人顔負けの演技をするが、子役はここでも健気だ。 

生前の父親が、後生大事に持っていた一枚のセピア色の写真。
トロッコを押している男の子の写真だ。
敦は父親だとばかり思っていたが、その男の子は祖父の子供の頃だと判明する。
その村の樹木は、とても立派で、日本の神社仏閣の柱として用いられたと言う。
手押しトロッコが走る線路は、遠く日本にまで繋がっている道だと、祖父は嬉しそうに話す。

あんなに可愛い孫の笑顔を見せてくれて・・・と、嫁に感謝の言葉を言う姑。
孫に当り散らす嫁の負担をいくらかでも軽くしようと、孫を預かろうか・・・と、提案する姑。
死んでしまいたいくらい辛いと、姑にすがりつき泣きじゃくる嫁。
それを、柱の影から聞いていた敦。

「ここに残ることになるんだぜ!」

「厭だ! 東京に帰る!」

「じゃぁ~、お兄ちゃんの言うことを聞くか?」

と、敦は凱を連れ出して、トロッコのところへ。

初めは、面白がっていた凱も、夕暮れ時になると、帰る・・・と言い出し、山の中を一目散に走り出す。

「待てよ!」

と、跡を追う敦。

パトカーまで応援に頼み、探し回る母親。
泣きじゃくりながら母親の懐に飛び込む凱。

「僕は要らない子なんだ・・・」

と、哀しそうにつぶやく敦。

「そんなこと無い! 大事な子だ!」と、母子三人で抱き合って泣く姿に胸が打たれた。

自分たち母子がこの山村に留まるのが、亡き主人にも喜んでもらえるからと、同居を願い出る嫁に、

「可愛い元気な孫を見せてくれただけで嬉しい!
 自分たちの、それぞれの道を進みなさい!」

と、言う義父母。

亡き父親の郷里でのトロッコでの経験は、敦たち兄弟にとっても、宝物となることだろう。

清らかな山林と、素朴な村人たち。
一服の清涼剤のような、素敵で爽やかな映画だった。

商道

2010年6月26日 映画 コメント (4)
もう、随分前に友人からプレゼントされたDVDなのに、やっと、昨日見終わった。
足掛け3年以上は経っただろうか・・・。(笑)

(☆☆☆さん! ミアネヨ! そして、コマウォヨ♪)


19世紀の朝鮮王朝の時代の話だ。
奴婢から高位官職まで上り詰めた、実在の人物の話。
イム・サンオクという、朝鮮商界の礎となった人の、波乱万丈の話だ。
さしずめ、日本の大河ドラマと言ったところか。
何しろ、50話からの話なので、長い長い!
正直、何度も途中で中断したけれど、見終わって良かった!


「商いと言うのは、【金】を残すのではなく、【人】を残すもの」

と言う信念の元、智慧を絞り、民衆の為、貢献するイム・サンオク。
私利私欲に走らない清い生き方に、すがすがしい思いが残った。
途中、韓国版、【ロミオとジュリエット】の要素もふんだんに取り込まれ、面白い筋立ても展開する。


今、韓国の時代物が面白い。
宮廷モノも戦記モノもいいが、結構商いモノも楽しい。
前に「大望」(臆病者の若造が苦労の末、大商人になっていく話)も見たが、質的にはこちらの「商道」の方に軍配は上がるだろうか・・・。

ヒロインのライバル商社の娘を演じたキム・ヒョンジュ(ミス・キムの10億作りなど主演)が好きなので、尚、一層肩入れしたのかも・・・。(笑)

脚本は、「チャングム」を書いた人だそうな。
やはり、ドラマは脚本がモノを言う。
野沢尚氏原作を韓国でドラマ化。
小説より先に、ドラマの方を見てしまったのだが・・・。
なかなか、良かった。
仲の良かった若い夫婦が子供の死産を機に、愛し合ったまま離婚した。

高校時代水泳の選手で、今はスポーツジムのインストラクターをしているウノ。
いつも、なよなよとした清純派のイメージが強いソン・イエジュンがイメージチェンジ。
映画「王の男」に主演したカム・ウソンが本屋に勤める平凡な男、ドンジンを好演。
二人とも普通の庶民の感じが気持ちよい。


子供の死を境に、気持ちがギクシャクしていく二人。
お互いに、一番気になる存在であることは確かなのに、会えば心と裏腹な悪口が飛び出してしまう。
それなのに、別れた女房が好きになった、離婚調停中の大学教授の奥さんに、調停に応じてくれるよう、ウノの為に土下座までしてしまうドンジン。

それ程、お互いのことが気になるのに、掛け違えたボタンのように、ちぐはぐになっていくウノとドンジン。

高校のクラス会で会った同級生と、再婚してしまったドンジン。
何がどうと言うことも無いのに、だんだん、無気力になっていくウノ。
完全無欠な奥さんの下、前より身奇麗になっていったドンジンだが、何故か、勤務先の同僚たちからは、前の方が魅力的だった・・・と、影口を言われるのが笑えるところだ。

「幸せか? お前は幸せにならなければいけない」

と、女房の足まで洗ってやるドンジン。
が、新婚なのに、何故か、心ここにあらず・・・と言った風なのだが。

まぁ~、最後は、それぞれ収まる場所に、大学教授夫妻も、二人も、なるのだが・・・。


これはドラマだけれど、実生活でも、こういう風に、「ボタンの掛け違い」って結構あるのだろうな・・・と思う。


我が家も、遠い昔、主人と気持ちが離れて、悩んだ時期もあった。(苦笑)
今となっては笑い話だけれど、早まらなくて正解だったと胸をなでおろしている。
(笑)

今は、お互いがお互いを支えつつ、毎日を過ごしてる感じだ。
まだ、これから先、どのような試練が待ちうけているかわからないが、一緒に頑張っていかねば・・・。

ちょっと気になったドラマだった。
日本ではドラマ化されなかったのだろうか・・・。
折角、野沢氏の作品なのに。
昨日は、いつもの仲間と映画を見に行く日だった。
メリル・ストリーブの【恋するベーカリー】。
ところが、早く行ったにもかかわらず映画は既に上映されていた。
劇場のスケジュールは週ごとに違っているそうで、次回上映時間は夕方とのこと。
主人を家に置いての外出だから、それでは遅すぎる。
映画は又、次回に・・・と思っていたら、近くの映画館でクォン・サンウ主演の映画を上映してると言う。
まぁ~、サンウは余り好みの俳優ではないけれど、ヒロインのイ・ボヨンは好きな女優さんなので、まぁ~良いか・・・と、見ることにした。

題名は、なにやら長ったらしい、

  【悲しみよりも、もっと悲しい物語】

と言う。
詩人でもある監督の作品だそうで、韓国では、久々のメロドラマとして評判も上々だったそうだ。


あらすじとしては、父親を病気で亡くし、その上母親にまで捨てられたケイ(ラジオ・ディレクター)と、交通事故で両親と妹を亡くしたクリーム(作詞家)の物語だ。
孤児の二人は、家族として一緒に共同生活を営むのだが・・・。
ケイが父親と同じ病魔に犯され、愛する人、クリームを最後まで守り通せないと分かり、彼女を幸せにしてくれる人を探し出してくる。
その眼鏡にかなった人は歯科医。 が、既に彼にはカメラマンの婚約者が居た。

ケイはカメラマンの婚約者に、自分の余命が余り無いことを話し、婚約破棄を願い出る。
彼女は、彼をカメラの被写体として、最後は自分の傍で死ぬことを条件に申し出て、クリームと歯科医の結婚を実現させる。
婚約を破棄されたのに、なにやら歯科医も嬉しそう・・・。
クリームに心、惹かれたか・・・。

天真爛漫なクリームと苦悩を抱えたケイ。
クォン・サンウと言う俳優の作品は余り見てないが、さすが、「涙の帝王(?)」と言われるだけの人だ。
只単に、体と顔が綺麗と言うだけでなく、演技もなかなかのものだった。
自由奔放に生きているクリームをイ・ボヨンが可愛く演じていた。
彼女の喋りは独特で、弾むような発音が可愛らしい。
が、綺麗だった彼女も、歳はごまかせない。 輝くような美しさが消えていたのがちょっと残念だった。
女優業も残酷だな・・・と思った瞬間だ。
それでも、演技力は相変わらずで素晴らしい。

ネタばれになってしまうのだが、クリームもケイの病気のことは知っていたのだ。
愛するケイが、自分を歯科医に託そうとしていることを知って、ケイの願うことならばと、自分から歯科医に近づいていったのだ。
ケイとクリーム、そして歯科医と、時間をまき戻し、三者三様の側からの話は涙を誘う。

天国に居るケイを探すべく旅立ったクリームに、彼らの幸せだった時の写真を供える歯科医。
もっとも、取り残された歯科医が哀れで、あまり後味の良い話とも言えなかった。
元の婚約者(カメラマン)が力になれば・・・なんて、虫の良い思いも抱いてしまった。(笑)
天国の何処かで、クリームがケイに逢えるといいな・・・。

メリルがサンウに化けちゃったけれど、「パン屋さん」は何時、見に来ようか・・・。(笑)


*割と綺麗で大きな映画館で上映されていた。
 韓国映画は、もう下火だと思っていたけど、結構、大勢の観客でびっくり。
 ブームは去ったけれど、定着したのだろうか・・・。
私の推理小説の「原点」は、かのアーサー・コナン・ドイルの【バスカヴィル家の犬】だ。
小学校5年生の時の担任の先生が読んでくれたのがきっかけとなり、瞬く間に「シャーロキアン(?)」となってしまった。
【まだらの紐】【赤毛同盟】【緋色の研究】など、次々と読んでいった。
大人になってからは、NHKで放映された、「ホームズを演じさせたら一番」と言われているジェレミー・ブレット(吹き替えは露口茂氏)にはまった。

そんな、誰もが知ってる「シャーロック・ホームズ」がハリウッド映画になったと言う。
しかも、かなり若いコンビが演じているらしい。
まぁ~、駄目元でも・・・と、ジュード・ロウ氏に惹かれて見に行ったのだが、これが嬉しい誤算。
凄く面白かった。

ロバート・ダウニー・JR氏のホームズは、ハチャメチャな感じもするが、案外原作のイメージに忠実で、奇人変人を旨く演じていたようだ。
ジュード・ロウ氏は思っていた以上に、格好よく、寸分違わぬ衣装に身を包み、ジェントルマンとして申し分ない。
仕込み杖のステッキもサマになり、うっとりだ。(笑)

ホームズの相棒、ワトソンが結婚する為、引越しをするところから物語は始まる。
兄とも心の友とも思っていた相棒が離れていくことに耐えられないホームズ。
婚約者のメアリーとは、「絶対に結婚するぞ!」と思っているワトソンだが、やんちゃな弟が心配でならない・・・。

「この事件が最後だぞ!」

と、念を押しながらも、危険な冒険に挑む二人。

ともかく、英国調の色彩にまとめられた画面も意外だが、テンポがすこぶる良いのだ。
あまり、くだくだ先入観を持たず、白紙の状態で見ることをお勧めしたい。
凄く、面白いから・・・♪

映画館までの運転手だから・・・と、期待もせずに付いてきた息子が、

「やぁ~、面白かった! こんなにキャラが生きてる二人だから、シリーズ化すればいいのに。 次回作が待ち遠しいぜ!」

と。

私も、この【相棒】は大好きだ~♪

「木村多江が凄く良い~♪」
「中谷美紀も綺麗!」

見てきた友人が口々に褒めるので、今朝、豊島園の映画館で見てきた。

正直、原作が余りにも素晴らしいから、映像化はちょっと懸念していた。
過去にも、何回か映像化されてはいるのだけれど、時代背景が今とは違うし・・・。
主人公が、過去の何に怯え、何のために罪を犯すのか、描ききれないように思っていた。

今回の犬童一心監督版はまぁ~、及第点は上げられるかもしれない出来栄えだと思う。
映像が、昔の日本映画のような、適度の暗さを持っていて自然だった。
原作通り、戦後の立川でのエピソードも描かれていたし・・・。

17~18年前に見た、「火曜サスペンス」では、ヒロインの過去をソープ嬢に仕立てていた。
同じ隠しておきたい古傷でも、戦後のアメリカ兵を相手の娼婦とソープ嬢では、境遇が全く違っていて、余り、【哀】は感じられない。
その点、今回は、立川時代が少しでも描かれていて、なんとなく納得できた。
ただ、受付嬢のブロークンの英語をいぶかしく思い、立川時代を連想するくだりが、比重が軽く描かれ過ぎていて、物足りなく感じた。

映画の終わりに、【韓国】のクレジットがやけに多いと思ったら、撮影は韓国でしたらしい。
今の日本では、戦後の30年代の町並みを撮ることが難しいのだろう。
韓国には、未だ、日帝時代の面影が残る街並みが残っているらしい。
この映画にかかわらず、かなりの映画のロケ地となっているとか・・・。

ちなみに、新妻の禎子の実家がある「阿佐ヶ谷駅」は、図書館などで見た写真とそっくりだった。
現在は高架線の駅になってしまったが。
実家の住所の、「阿佐ヶ谷7丁目」と言う地名も実際には無く、現在、近所に住んでる私には、なんとなく、クスリと笑える場面だった。(笑)

松本清張生誕100年の年に作られた映画、「ゼロの焦点」。
悪くは無かったけれど、原作が余りにも有名だと、映像化は難しいものだと思った。

星は、★★★★☆。
一日、遅かったら・・・、台風で行けなかったかも。(笑)
一昨日、久しぶりに友人と会って、「キッチン」(韓国映画)、見てきた。

天真爛漫な純粋なモレ。
演じているのは、顔は普通だけれど、ものすごく脚が綺麗で、独特の雰囲気を持った女優さんだ。
彼女の「不思議ちゃん」ぶりに「若さ」を感じて、嫉妬(?)心すら覚えそう。

自由奔放な天才シェフのドゥレ。
「アンティーク」でも、シェフの役を演じたチェ・ジフン。
生い立ちの影を引きずり、ちょっと哀愁帯びた雰囲気は小母さんの心をくすぐる。(笑)

モレの幼馴染で優しい夫のサンイン。 
金融マンから念願の夢であるシェフに転身。
フランスで知り合ったドゥレに師事する。
若くて可愛いモレを妻にした果報を分かっているような、居ないような・・・。
天才シェフのドゥレを弟のように可愛がる。

この3人が、新しい店のオープンの為、一つ屋根の下で暮らし始めるのだが・・・。
モレは夫以外のドゥレに惹かれて行くことを隠そうとしない。
ドゥレも、自分の心の赴くままにモレに接する。
3人の中では一番、ノーマルなサンイン。
愛しい妻、可愛い弟の中で、一人苦悩する。

  【3人の愛しく切ない、彼らだけの愛のレシピ。】

映画会社は旨いキャッチコピーを考えるものだ。(笑)


女流監督の目(映像)は、静かで優雅で美しい。
幻想的な感じすら受ける。


「同時に二人(夫と彼)を愛すことは出来ないの~?」

と、無邪気に不思議そうに友人に尋ねるモレ。


どうも、私の範疇からはちょっと、はみ出した映画だった。
でも、後味は悪くない。
裏稼業で知り合った日本と韓国の青年の、人間的な暖かさを深め合う人間ドラマ、【ノーボーイズ・ノークライ】を見てきた。
妻夫木聡とハ・ジョンウと言う、両国の人気スターが競演している。

韓国・釜山の漁港から小さな船で、日本に麻薬を密輸入する「運び屋」のヒョングと、日本でそれを受け取る「受け取り屋」の亨。
原題に、「The Boat」とあったのは、この小さなボートのことか。

「ヨボセヨ」

と、釜山からのヒョングを出迎える亨。

「ヨボセヨ(もしもし)は電話の時に使う言葉だ。 会った時の挨拶はアンニョハセヨ(こんにちわ)だ」

と、執こく教えるヒョング。
そして、いつしか、静かに絆を深めていった二人だが。

ある日、梱包された、拉致された女性(チス)を運ぶように命令を受けるヒョング。
子供の頃、母親に捨てられ、拾って育ててくれた叔父(?)の社長の命令には避けられず・・・。
渋々、運んでくるのだが・・・。

「お金」の為、組織にはむかい、チスを助けかくまう亨。

「何で、そんなにお金が欲しいのか?」

と、訊ねるヒョングに

「全てを見せるよ」

と、家に連れて行く亨。

そこで、ヒョングが見たものは・・・、
痴呆の祖母と、父親の違う子供3人を産んだ妹一家との壮絶な暮らしぶりだった。
しかも、子供の一人は難病で、手術代金も必要なのだ。

家族を負担に感じ、居なくなれば・・・と、感じる心、愛する心にやりきれない亨。
「自分なら逃げ出している・・・」と、亨の苦悩を理解するヒョング。
孤独や絶望の中で、人間の温もりを深めていく二人。

脚本(渡辺あや氏)が良い所為か、俳優人が良い所為か、小品(?)ながら素敵な映画だった。
ハ・ジョンウ。 「HIT」の検事役で見せた、都会的な洗練されたスタイルと違って、今回はチンピラと言う汚れ役で存在感大だ。
妻夫木くんとの相性もぴったりのように思えた。
カラオケ大会で、二人で歌った、「アジアの純真」には、大いに笑わせてもらった。
帰宅してからも、そのメロディーは頭の中を駆け巡っていた。(笑)

今回は、妻夫木君には分が悪い役のように思えた。
綺麗な童顔の彼には、汚れ役が馴染めないように感じた。
あの宝石のような漆黒の瞳が勿体無い・・・。

思っていた以上に良い映画で、評価は★★★★。
家族が負担に思えること、誰しも、少しはあるだろう・・・。
私も・・・。


「ベッドリッジ駅
  
 午後5時 

 駅にはいつも君が待っていた・・・」


ご存知、渋谷駅前の「忠犬ハチ公」のアメリカ版の映画だ。
東大の上野教授とハチ公の話は余りに有名だから、アメリカ版はどのようにリメイクしてくるか・・・、興味があった。

アメリカ東海岸の、とある小さな駅、「ベッドリッジ駅」で迷子になった子犬の秋田犬を大学教授のパーカーが保護する。
以前飼っていた犬に、死なれた経験を持つ妻は飼うことに猛反対するが・・・。
二人(パーカーとHACHI)の絆には勝てず、HACHIはパーカー家の一員となる。

パーカーが駅で見つけた時は、HACHIの傍には壊れた籠とちぎれた荷札が。
遠い、日本の山梨からはるばる運ばれてきたようだが・・・。
子犬の首には、「八」の名前がついた首輪が掛けられていた。
毎朝、大学に列車で通うパーカー教授。
以来、パーカーとHACHIの夕方の5時の出迎えが通常化されていく。

茶色主体のシックな画面に、時折、HACHI目線のモノクロな画面が織り込まれ、新鮮だ。
パーカーの孫息子が、学校の授業で発表した、「マイ・ヒーロー」で物語は始まり、最後、HACHIそっくりな子犬を連れて線路を散歩する孫との画面で終わっている。
静かで、暖かな映画だった。

「ハンカチ、2枚は居るわね~」

と、友人に言われていたにもかかわらず、アイラインを入れてきたことにちょっぴり後悔を。(笑)
渋い大人の魅力満載のパーカー役のリチャード・ギア。
若い頃からファンだったけれど、ますます、好きになりそう・・・。
筋は知っているから泣くものか・・・と思っていたけれど、いつしか、涙が頬を伝っていた。
物言わぬHACHIの心根が哀らしくて・・・。
早く、家に帰り、我が家の猫たちを思いっきり、抱きしめたいと強く思った。

それにしても、秋田犬、「あきたいぬ」と読むことを初めて知った。(笑)
「あきたけん」だとばかり思っていたから。
犬なのに、人に媚びることなく、毅然としている秋田犬。
昔、武将や王様に仕えていた犬だそうな。

なにやら、お馴染みの忠犬ハチ公もりりしく思えてきた。(笑)
 
眠るどころでは無く、とても重い作品だった。
大判のハンカチを用意していったのに・・・。
客席からは、すすり泣きの声も聞こえてきたのに・・・。
最後まで一滴の涙もこぼさずに、一言一言、字幕の一字一句を見ていた。
言いようの無い理不尽の怒りに苛まれながら。

主演のケイト・ウィンスレット。 【タイタニック】の頃の輝くばかりの豊満な体は色褪せ、その代わり内面から滲み出るような美しさに圧倒された。
アカデミー主演女優賞も納得の演技だった。
主役の男性は、少年時代と大人になってからと、二人の男性が演じていたが、ハンナは彼女が一人で熱演。
晩年の老け役は、少しも違和感が無く、見事としか言いようが無い。


1958年。 15歳の少年のひと夏の経験から、この物語は始まった。
路面電車内で気分が悪くなった少年を車掌であるハンナが助ける。
しょう紅熱で3ヶ月も病に臥せっていた少年が、回復後、お礼にハンナを訪ねたところから。

ハンナは少年に本を読んでくれるようにせがんだ。
来る日も来る日も、少年はハンナに本を朗読する。
朗読が二人の愛の儀式のようだった。
そして、ある日、ハンナが少年の前から姿を消す。

8年後、法律専攻の学生となった青年は、ゼミの一環である法廷で、被告であるハンナに再会する。
アウシュビッツの看守だったハンナの過去。
同僚の看守たちから主犯格に祭り上げられ(落としいられ)、書いた覚えの無い供述書をつき尽きられ・・・。
葛藤の末、ハンナは罪を認めてしまう。

何故、本を自分で読まずに彼に読んでもらっていたか・・・。
何故、レストランでメニューを読むことなく、「あなたに任せるわ」と言ったのか・・・。
何故、現場の車掌勤務から事務職への栄転を拒み、失踪したのか・・・。

全ては、「あのこと」が原因だった。
彼女は、「あのこと」を知られるのが厭で、筆跡鑑定を拒んだのだ。
青年だけが、ハンナの無実を証明できたけれど、彼女が嫌がるだろうと、あえてそれを口外しなかった。
「あのこと」を知られないことがハンナのプライドだったのだ。

刑務所に収監された彼女に会うこともせず、弁護士となった彼は、ひたすら本をテープに朗読して送り続ける。
番号の代わりに、「・」「・・」「・・・」「・・・・」と、印をつけて。

その後、20年の月日が流れ、刑期が終了するその日に、ハンナは自ら命を絶った。
気持ちの良い部屋と仕事を用意してくれた彼から逃れるように・・・。
それもハンナのプライドだろうか。

アウシュビッツでのただ一人の生存者の元に、ハンナの遺言を届ける弁護士。
かっての被害者の住む豪奢なニューヨークの部屋と、加害者であるハンナの住む独房。
その対比が、なぜか戦争そのものを考えさせられる。

生々しいシーンは出てこないけれど、これは一種の反戦映画かもしれないと思った。

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