私は、お正月の2日に生まれました。
だから、まだ、2ヶ月ちょっとの新生児の赤ちゃんの時が、【初節句】だったんです。
女の子が生まれると、母方のお里が忙しく動き回ると聞いてます。
現に、友人の所は、去年生まれた初孫に、大騒ぎしています。

 私の母は幼い頃実母を亡くし、実父も成人前に亡くなり、兄夫婦に育てられました。
何とかして、「家を出たい」の一心で、姉の縁戚筋に当たる父の元に、嫁いで来たそうです。
母の生家は田舎とはいえ旧家の本家筋でしたのに、父の生家は江戸っ子の祖父が財産を呑んでしまったと言う、余りつりあいの取れてるカップルではなかったようです。

 でも、幼心にも、向上心の強い二人でしたから、商売に精をだし、働き者の両親であったと感じてました。
だから、若い両親にとって、娘の初節句は実家に頼らず、二人で何とかしよう・・・と、愛情一杯のお雛さまであったと思います。

 当時、三越のある、室町あたりが雛人形の店が多かったと聞きました。
若い父は、お金を握り締め、小さな娘のために買いに行ったことでしょう。

 学校に上がる頃になると、友人の家の段飾りが羨ましくてなりませんでした。
「何で、私のはお雛様二つだけなの〜?」と、膨れた顔をして、母を困らせました。
我が家のお雛さまは、三人官女も五人囃子も無く、その代わりに、ミニチュアのお道具がついてました。
文箱に始まり、机、箪笥、長持ち・・・など。葵のご紋こそついてませんが、立派なお道具の数々。
若い父がこれらを一つ一つ選んでくれたのだ・・・と思うと、目頭が熱くなってきます。

 息子二人しか授からなかった私には、娘のためにお雛さまを買うと言う機会がありませんでした。
長らく、里の倉庫に眠っていたお雛さまを昨年、持ち帰り、今年、40年ぶりに飾ることが出来ました。

 一つ一つ、薄い紙に包まれ、防虫剤とともに、父の書体の説明図が貼ってある小箱に入れられ、それらがまるでパズルのように、きちんと大箱に収められていました。
半世紀以上のお雛さまのお顔は何処も損傷が無く、綺麗なままでした。

 「さすが、親父だね〜! 俺、こんなに綺麗に仕舞えないよ〜」
と、主人は、まるで自分が娘の父親になった如くに、飾り付けています。
面倒くさがりの私は、片付けることを考えると億劫になるので、倉庫に眠りっぱなしに放置していたのです。
でも、こうしてお雛さまと向き合うと、若かった両親のことが思い出されて懐かしい。

 昔のお雛さまは、色あせることなく、優雅な微笑を浮かべ、私達を見守っているようです。

 お母さん! 見てますか〜? 今年こそ、飾りましたよ〜!

コメント

子持ちあゆ
子持ちあゆ
2006年2月20日7:54

アミ様

おはようございます、子持ちあゆです♪
愛する娘のために、一生懸命、きっと寝る間も惜しんで働いて、少しずつそろえていったおひなさま。
きっと、どんな豪華な八段飾りのおひなさまよりも、輝いていることと思います。
アミさんの文章から、子を思う親の愛情と、そんな両親を愛し、尊敬する娘の気持ちがひしひしと感じられます。
素敵なお話を聞かせて、ありがとうございました。
40年ぶりに飾ってもらって、おひなさまたちもとても嬉しかったのではないでしょうか〜?

それにしても、ひな飾りって、出すのも大変ですが、それ以上に片づけるのが大変です。
壊れないように、痛まないように綺麗に包んで、箱にしまって、またそれを大箱に詰めていく……。
きちんと収まるか、毎年ドキドキしながらの作業です。
アミさんのだんなさま、1日お借りしたいくらいです。(笑)

アミ
アミ
2006年2月20日8:39

子持ちあゆさまへお返事♪

 我が家の主人は、とても【マメな人】です。
私が、横着者ですから、丁度良いのかも・・・。(笑)
ガレージの花壇も、買うのは私ですが、植え替えて世話をするのは主人です。始終綺麗になっていて、近所の方は褒めてくれますが、怠け者の私は、こそ恥ずかしい気がします。
勤務先でも、本来の業務は「広報」ですが、花壇の手入れからちょっとした営繕まで、何でもこなします。
マメだから、フットワークも軽いので、女子社員には結構、人気者のようです。(笑)
お貸ししたいのは、やぶさかではありませんが、主人は誰かさんと同じで、空気見知りな人間です。
慣れるまでは、ちょっと駄目かも・・・。

 我が家の唯一の財産(?)です! (笑)

みかりん
みかりん
2006年2月20日9:10

お雛様、我が家も飾ってます。実家の母も多分飾っているのではないかな?とアミさんの日記を見て思いました。
お雛様って小物が多いから小箱に入れて、大箱にしまう作業が面倒ですよね・・・。我が家も収納係りはパパです(笑

ありす
2006年2月20日10:53

いいお話ですねえ。
お父様お母様が一生懸命生きてらっしゃって、お子様にもせいいっぱいの愛情を注いでおられたその証のお雛様ですね。

私もお雛様出さないと。長女の受験が一段落したら・・と思っていたら、思わぬ展開でちっとも落ち着かないので、お人形さんまで頭が回りませんでした。お雛様でも出したら気持ちが癒されそうな気がします。うちのお雛様もやはりお内裏さまだけですが、お道具は私のお雛様の物を持ってきました。椀物の蓋が取れるのですが、毎年、どの椀にどの蓋だったか、パズルのように悩んでいます。(書いとけっ!<陰の声)

蒼い空
2006年2月20日10:56

こんにちは。
40年ぶりのお雛様ですかー。感慨深いものがあるでしょうね。
うちは娘ですが、残念ながらお雛様とは今の所無縁です・・。
欲しい、欲しい、とダダをこねましたが、何せ金額がすごいので、とても買って上げられません。
すっごく高いですよね・・。
日本へ行く時には買ってあげるよ、と言っておきましたが、果たして買えるかな???

アミ
アミ
2006年2月20日14:56

みかりんさまへお返事♪

 何処も、収納係りはご主人様のようで・・・。
案外、男性の方が細やかなんでしょうか。
「綺麗な和紙で包んでやる・・・」と、なにやら、主人は父に対抗心(?)を抱いてるようで・・・。
まぁ〜、私はいつでも、口で応援だけですが。(笑)
「素敵! やってね〜。」

ありすさまへお返事♪

 私、いつも反省してるんです。
親にしてもらったほど、自分は子供に愛情を注いでいるか・・・と。
「時代が違うよ〜」と、父は慰めてくれますが、世の中、忙しく、目移りすることが多くて、両親ほどには息子に向き合えてなかったのでは・・・と、思うのです。

 わが家のお雛さまのお道具も、椀物は蓋が取れます。精巧なおままごとのようなものです。
昔のものですから、漆も丁寧に塗ってあったらしく、綺麗です。
赤い毛氈も、虫食い一つありませんでした。両親の管理の良さに今更ながら、感心しています。

蒼い空さまへお返事♪

 木目込み人形のお雛さまは高価ですが、瀬戸物のお雛さまなら、案外安く手に入ります。
色も形も、綺麗ですよ〜。
私は、自分のお雛さまは実家に預けっぱなしでしたので、ミニチュアの瀬戸のお雛さまを玄関の飾り棚に置いてました。
充分、愛らしく、お嬢様も喜ばれると思いますよ〜♪

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