まだ、昼食には間が或る時間。
庭仕事に余念のなかった主人が、急にリビングに上がってきた。
何をするでもなく、私の周りをうろうろしてる。

「俺、今、何しに上がってきたのだろうか・・・」

「私の顔を見に来たのでは〜?」

「いやぁ〜、それは無い!」(憎らしいほど、きっぱりと断言する)

それでも、何か、思い出そうとしているのだが・・・。

「嫌になっちゃうよ! 右向いたら、もう、コロッと忘れちゃうんだから・・・」

「ホント! 私達の頭の中の回路って、スイッチが入ったり切れたり・・・。 微妙だよね〜」

それでも、主人は長いこと思い出そうとしていたけれど、とうとう、思い出さずじまいに庭に戻って行った。

老いた頭の回路は、どうなっているのだろう・・・。(笑)

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