両手に持ちきれないほどの買い物袋を持って、バスに乗り込む。
始発での時間調整の為か、バスは中々発車しない。
帰宅時間より、ちょっと前の時間帯なので、車内はがら空き状態。
私は、堂々（？）と二人がけの椅子を荷物と共に占領した。
と、その僅かな空いてる場所に、1人の男性がぐいぐいとお尻を乗せ、座り込んでくるではないか。
周りには、いっぱい空いてる席があるのに、何を好き好んで、私の隣に座り込んでくるのか・・・。
嫌味たっぷりの視線を向けた先に、何と、主人がにこやかに笑っていた。
丁度、携帯メールを受信した時だったので、顔を伏せていた為、主人が乗ってくるのに気がつかなかったのだ。
「どうしたの～？ こんな時間に・・・」
「病み上がりだろう～？ 早めに切り上げた！」
「良く、私が乗ってることに、気がついたね～」
「乗る前から、窓からお前の見覚えのある洋服が見えたから・・・」
「ふ～ん・・・」
上出来だ！ 日頃、私が何を着ていたって、関心も払わない主人にしては、褒めてあげねば・・・。（笑）
葱が飛び出してる買い物袋を覗いて・・・
「おぉ！ 今夜はすき焼きか～？ 良いなぁ～♪」
「風邪も治ったことだし、ちょっと栄養をつけなくてはね～」
駅から、我が家まで、バスに乗れば10分もかからない距離だけれど、老夫婦二人だけの時間は、とても稀有なこと。
思えば、新婚旅行から帰宅するや大家族との生活が始まり、今は息子夫婦と同居の賑やかな生活だ。
主人と二人きりの「新婚生活」を過ごした経験が無かったのだ。
私の感慨を他所に、主人はと言うと、
「時間帯が違うと、乗客の種類と言うか、顔ぶれががらりと変わるんだ・・・」
と、面白そうに車内を見渡している。
そして、バスから降りる際、葱の入った買い物袋を、ひょいと手に持った。
「スーツ姿には、似合わない。 恥ずかしいよ！」
と言う私の言葉には耳も貸さず、すたすたと降りていった。
新婚夫婦とはこういうものなのか・・・と、やけに私の足取りも軽ろやかに・・・。
（本当は、右足が痛くて、歩くのも困難なのに・・・苦笑）
還暦過ぎた老夫婦にも、こんな甘酸っぱい（？）一齣もある・・・と言う話です！（笑）
コメント
荷物を持たせてはスーツに似合わないと思うアミさんと、重い荷物は持ってあげないと、と思うご主人のお互いに思いやりを持ってるところなんて憧れます。わたしなんて荷物は男の人が持つのが当然のこと！なんて思ってるからなぁ・・・・。
とっても素敵…♪
窓から、アミさんの着ていらっしゃる物に気付くなんて、すごいです！
ほんと、いっぱい褒めてあげてくださいね。
お二人のお時間も出来て、きっとこれからは、もっともっと、こんな瞬間が増えていくんじゃないかしら。
お互いの思いやりがさりげなくでてしまうところが・・・ステキです☆
昔の「チャーミーグリーン」のＣＭを思い出してしまいました。
何だかいいなあ～
何の変哲も無いDNに、皆様から、こんなにコメントを頂き恐縮してしまいます。
有難うございました。
でも、こんなに気持ちが寄り添うようになったのは、お互いに年齢を重ねたからなんですよね～。
主人の優しさは、時として、私以外の人にも多く向けられ（？）て・・・。
若い時は、随分、喧嘩もしました。（笑）
☆ありすさん！
はい！ 義父も優しい人でした。
そのDNAはしっかり、息子・孫へと引き継がれ・・・。
息子のお嫁ちゃんに対する優しさは、嫉妬の炎がメラメラと・・・。（笑）
☆みかりんさん！
年代の相違ですよ。
私くらいの人間は、まだ、いくらか、【男尊女卑（？）】の習慣が残っているのでしょうか。
主人には、常に、格好よくいて欲しいです。（笑）
☆Mimiさん！
常日頃、職業柄（元化粧品会社勤務）でしょうか。 女性の身なりには煩い方でした。
でも、それは、女房以外のこと。
私など、髪を切っても、知らん振り。 よもや、洋服を覚えているとは・・・。
意外でした。
☆まひるさん！
あのCM、私も好きでした。
年老いても、可愛く生きたいですね～。
主人は確かによく気がつく人です。
一緒に歩いていても、さり気なく、自分が車道側に立ちます。
でも、口が悪いんですよ！
だから、いつも怒鳴られっぱなしです。
☆ららる～♪さん！
うふふ・・・♪
たまには、私にも優しくしてくれても罰は当らないでしょう。（笑）
☆みっちいさん！
今の季節、世田谷文学館、良かったでしょう～？
結構、穴場なんですよ。
前回は、宮尾登美子展もやっていて、篤姫の内掛けなんか、展示されていたんですよ。
過去にも、藤沢周平、向田邦子、好きな作家の展示もありました。
【ドライカレー】、お気に召して良かったです。
今度は中華風ちまき等如何ですか～？
いつか、DNに書いてみますね～。