亡くなった母は【芝居】が大好きな人だった。
歌舞伎座、明治座、演舞場は元より、帝国劇場、日生劇場など、よく一緒にお供したものだった。

昨日は、妹のお供。
本当に、何年ぶりに、新橋演舞場の「初春花形歌舞伎」(昼の部)を見てきた。
演目は

・寿曽我対面

・黒塚

・春興鏡獅子

の三つ。

前から8列目。 花道から3番目と言う、滅多にない好位置の席で堪能した。

「寿曽我対面」は、父親の仇、工藤祐恒経(すけつね)を仇討ちしようと曽我の十郎と五郎の兄弟が対面を願い出る一幕。
静の十郎(笑也)と動の五郎(中村獅童)。 
逸る弟を抑える兄。 歌舞伎独特の所作が随所に見られ、なかなか見ごたえがあった。
五郎の恋人(?)の化粧坂少将(遊女)を春猿さんが。
期待に背かぬ艶やかで楚々とした美しさにうっとり。 綺麗だった。(笑)

「黒塚」は前幕で敵役を演じた市川右近さん。
鬼女と見まごう老女・岩手を好演。
夫に、はるか奥州の安達原に捨て去られ、鬼女になってしまった老女・岩手。
諸国行脚の途中に立ち寄った名僧アジャリによって、長年の心のわだかまりが消えた岩手。
一夜の宿を願い出たアジャリ一行の夜寒のご馳走にと、山に薪を取りに行く岩手。
月明かりの中、浮かれて童女のように無邪気に踊る右近さんの素晴らしさに、思わず私まで手足が動いてしまう。
今回が初役で勤めるというのが嘘のよう。
手の先、足の先まで神経が届いているような軽快な踊りに驚いた。
前幕の落ち着いた工藤祐経との対比に、役者の力量を見た思いがする。
さすが、歌舞伎の世界は奥が深そうだ。

そして、最後は、「春興鏡獅子」。
今話題の、海老様こと市川海老蔵の一人舞台だ。
歌舞伎以外で、数々のエピソードで賑わいを見せてる海老蔵だが、やはり、お金を取れる役者の一人だ。
大奥の小姓・弥生と、獅子の精が乗り移った霊獣の獅子と二代わりの舞台だ。
去年9月に欧州公演で賞賛を受けた海老蔵の踊り。
日頃の精進(練習)無くしては出来ない舞台だろう。

今回、私が始めて使用したのが「イヤホンガイド」だ。
前から、そのものは知っていたのだが、あれは外人向けのものだろうと勘違いしていたのだ。
演舞場のそれは、お芝居の進行と同時に説明が聞けるのだ。
言外にこめられた意味や、所作の説明。 同時進行に、目と共に耳も一緒に舞台を見れるので、理解度も断然アップする。
何故、もっと、前に使わなかったのだろうか・・・と、ちょっと悔しく思った。(笑)

素晴らしい一日だったけれど、それにしても、席が15.000円、食事が3.500円。
イヤホン代が650円。
ちょっと、贅沢な出費だ。 痛い!痛い!(笑)

コメント

美歩
2010年1月24日23:36

素敵なお母様だったのでしょうね~。
私も先日同じ昼の部をみてきました。
アミさんとは別の日ですが、お席はほとんど一緒♪
すばらしい舞台にうっとりでした~!

アミ
2010年1月25日5:56

★美歩さん!

素敵な舞台でしたね~♪
演舞場は、歌舞伎座と違って、それ程仰々しくなく好きです。
あの席は最高! 足の裏まで見れちゃいました。(笑)

病気がちだった母が、一番最初に倒れた場所が演舞場でした。
その後、何回か、観劇できましたが、62歳の若さで身罷りました。
母と一緒に食べた、幕間の「おでん」。
最近は無くなったようで、今回は「鯛めし」にしました。
春らしいメニューで美味しかったです。(笑)

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