きちんとケジメをつけたくて、点字図書館へ挨拶に行ってきた。
14年。 短いような長かったような・・・。

通いなれた高田馬場も、もう、来ることも無いだろう。

若い学生達で、ごちゃごちゃと賑わっている、この活気溢れる街が好きだった。
高田馬場は西武線、東西線、そしてJRと、我が家からのアクセスはすこぶる良い街だ。
そんなことも、長続きした要因の一つだったかも知れない。

お昼に行った美味しい店も沢山あったし・・・。
大きな眼鏡屋さんでサングラスを作ったり・・・。
沢山あった銀行も合併して転居したり名前が変わったり・・・。
洒落た文房具店に夢中になったり・・・。
ちょっとリッチなスーパーで買い物を楽しんだり・・・。
今も、お気に入りのマフラーはこの街で買ったのだったし・・・。
好きなトワレの香りを知ったのもこの街だったし・・・。

思い出は尽きることが無い。


早稲田通りと交差してる道を大久保方面に歩いて一本入った奥に点字図書館はある。
駅からたった4~5分の距離なのに、坂道なので、かなり息があがる。
東京は、山の手線内は、何処も坂道だ。
昨日は、やけに坂の勾配がきつく感じられ、老いを痛感する。(笑)

改めて、図書館を眺めた。
コンクリートの4階建ての堅牢な建物だ。
入り口の前面は鎖のオブジェで飾られている。
昨年の3月11日、帰宅難民として、この図書館に泊ったことは、生涯忘れないだろう。

図書館のスタッフ達は暖かく出迎えてくれた。
何度も、慰留を口にされたが、私の決心は固かった。
壁には、「対面朗読者募集」の掲示があった。
14年間、そんなことは一度もなっかたのに・・・。

「アミさんは、オールマイティの読み手だったんですよ。 私達の救世主だったのに・・・」

と、スタッフの方は嬉しい言葉を言ってくれた。

「アミ朗読館が楽しみです!」

と、言ってくださった対面者の方もいらした。
私にとっては身にあまる、過ぎた言葉だ。


実は、私には、ちょっとしたトラウマがあった。
10年ほど前、主人の姉の甥っ子の結婚式があった。
その親族紹介の席で、義姉は私の紹介に言葉を詰まらせたのだ。
当時、パートで働いていた義妹(私)を無能者よばわりのニュアンスで紹介したのだ。
絵が描けるわけでもなく、ピアノを弾けることも無く、料理が上手なわけでもなく・・・。
たった一つ、文章を書くことは好きで、区報にエッセイが載ったり、雑誌で賞を頂いたことは私の密かな誇りではあったけれど、義姉には言ってなかったし・・・。

それでも、その時受けた無能者のレッテルは辛かった。
私は、いい年をして、何もとりえの無い人間だったのか・・・と。
それなりに、教育して育ててくれた両親に、申し訳なさでいっぱいになった。
だから、飽きっぽい私が14年も続いたのは、一つは、「意地」もあったのだと思う。
だから、余計に、スタッフの言葉は嬉しかった。
長い間、義姉や甥に感じていたわだかまりも、少しは氷解したように感じた。

昨日は、柄にも無く、ちょっとセンチメンタルな一日だった。(笑)

コメント

nophoto
Abi
2012年2月16日10:12

ええーーーっ!立派に子育てして、パートで
働いて家庭を守って、、、それでも不足なの?
お義姉さんってどんなに才能お持ちなの?
私ならきっとゴミのように言われていたでしょうね。
10年間どんな思いをされてたのか、、、、。
私も主人の姉は煙たい存在で、傷ついた事も多々ありました。
今は開き直りです。ある事件以来連れ合いが私サイドに
立つって事が分ってから義姉も口出ししなくなりました。
どーーーーんと胸はって!

アミ
2012年2月16日12:44

Abiさん!

主人には3人も立派な姉が居ます。
親子ほども年の離れた姉達には、頭が上がりません!(笑)
況してや、相続の際、親の家を無条件で弟に譲ってくれたことは感謝しています。
すったもんだはありましたが・・・。(笑)

この甥っ子の姉は、家にピアノも無いのに、早く登校し、学校のピアノで勉強をして、総代で国立大学を卒業した努力家の秀才です。
私など、眼中に無かったのでは・・・と思います。(笑)

このDNも、半ば、「意地」で続いてます。(笑)

ミハーハハ
2012年2月16日18:32

アミさんに1214202人の(今のカウンターです。一分後にはもう増えているでしょうね)愛読者が要ると知ったら御姉さんは腰抜かすかな。

文章の上手な人は頭の良い人ですよね。アミさん尊敬しています。


私の母も50代から15年間ほど点字図書館をしていました。何しろ一般家庭にようやくテープレコーダーが普及してきた頃にはじめたので、母が録音しているときは、声以外の音がテープに入らないように緊張しました。(そういう時に限って「さおだけ屋さん」がとおりがかったりして)
母の本を開くと、ところどころに鉛筆で大きく読み仮名が書いてあったりして懐かしくなります。

アミさんの朗読が聴けなくなった方々は寂しくて、いつまでも、ああ、アミさん~、と思いつづけるんだろうなぁ。

ミハーハハ
2012年2月16日18:33

ほら、もう10人増えてます♡

ぴゅあまむ
2012年2月16日22:45

アミさぁん♪

おつかれさまでした。。
潔い終止符のつけ方でアミさんらしいなぁって…
感心しちゃってました。。

*
2012年2月17日1:14

センチメンタルな一日の情景が
目に浮かぶような描写で

その中で「アミ朗読館」って言葉が
キラキラキラ〜☆って響きます

お疲れ様でした!

アミ
2012年2月17日8:11

ミハーハハさん!

心強い味方が居てくださって、凄~くうれしい!!(笑) 有難う♪
3人の義姉のうち、私を認めてくれて、仲良くできたのは長姉だけです。
やはり、一緒に12年間住んだ「小姑・嫁」の絆がモノを言ってるのでしょうね~。
人間、懐に入って、モノを見ないと分らないものです。

お母様、同じですね。
今は、デジタル(?)の録音とか・・・。
でも、私は、家でマイクロフォンに向かってのテープ録音でした。
だから、消防自動車のサイレンとか、邪魔物の音が入って、何度もやり直しましたよ。
そんな自宅録音も懐かしいです。

アミ
2012年2月17日8:14

ぴゅあまむさん!

潔い・・・なんて言うと、格好良すぎます。(笑)
単に、体力がなくなって面倒になっただけですよ。
本当はあと1年。 そうすれば15年だし、自分も古希だし、区切りがついたのに・・・。
だらしなくて。 踏ん張りが利きません!(笑)

アミ
2012年2月17日8:25

hagalazさん!

高田馬場は、図書館に通うようになって、初めて行きだした街です。
東京は広いですから、自分の出没するエリアは、ごく限られるんですね~。
遠い昔、早稲田大学生だったBFに連れられて、一回くらい行った事あったかな・・・。(笑)
小さな街でしたから、14年の間には、相当、出入りした店があるんです。
だから、凄く懐かしさが浮かんできて・・・。
行こうと思えば、30分もあれば行かれるのに・・・。
可笑しいですね。

「アミ朗読館」は主に、藤沢修平氏の短編モノとか宇江佐真理氏の本でした。
珠玉の作品に涙しました。(笑)
自分では選ばなかったであろう作品にめぐり合えて、幸せでした。




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