我が家の主治医のクリニックは住宅街の片隅にひっそりと建っている。
決して、豪奢な建物ではなく、いかにも、ご夫妻のお人柄を反映してる慎ましやかな、普通の家だ。
看護士さんもおかず、受付は奥様がなさっていて、家庭的なクリニックだ。

待合室は、総勢6~7人も座れば満員と言う可愛いものだ。
その小さな待合室に異変が・・・。
暮れや夏休みの前のように混んでいるのだ。
今月末から休診されるとのこと。
皆、2か月分くらいの大量の薬を抱えて帰られる。

ご夫妻は旅行が趣味のようで、よく臨時休診なさるけれど、長くても2週間だ。
こんなに長くクリニックを休診なさるのは珍しい。
何が・・・。
初めは検査入院と仰っていたが、どうも、開腹手術を受けるらしい。

「何時、退院できますか?」

と、奥様は訊かれたそうだが、

「開腹してみないと、分りません!」

と、担当医は言ったそうな。
それで、皆、2ヶ月分の薬となったのだけれど・・・。

考えてみれば、先生もご高齢だ。
70代の半ばはいってるだろう。
ご子息もお医者様だけれど、大手の病院で活躍中の身。
父親の小さなクリニックには戻っては来ないだろう。

「先生! 無事に生還してきてくださいよ!」

と、ストレートに励ましの言葉を掛けて帰る患者さんもいた。
私は、なんだか、胸が詰まって、言葉を捜した。
結局、

「先生! 頑張ってください!」

と、ありきたりの言葉しか出てこなかった。

この先生には、家族一同、どれだけお世話になったことか・・・。
自転車の籠に往診カバンを載せて、走り回っている先生の姿も見かけた。
平成の赤ひげ先生だった。
先生がクリニックをお辞めになったら・・・と、思うと、どうしていいものやら。

手術が順調に行きますよう、祈るしかない。

コメント

nophoto
Abi
2012年9月16日8:45

私の子供の頃、結構長くかかる病気で自宅療養でしたが、週に2回往診に来て注射の先生が正しく赤ひげDrでした。「ごめん下さい!」の声とともにもう玄関に入ってられて、注射の跡のバンソウ膏は違う所に貼られていて、、、、風のようにスクーターで去られて、、、大人になってからもそこの病院にかかってましたが。行く度に「お母ちゃん元気か?」って、昨日も聞かれたのに?って。医院から病院になっても変わらないDrでした。
アミさんの大事な先生もお元気で戻られると良いですね。

アミ
2012年9月16日10:40

Abiさん!

この手の先生。 減りましたよね~。
大学病院は、専門のことはいいけれど、あらゆることが訊ける、街のホームドクターこそを皆が求めているのに・・・。
お国は何、考えてるんでしょう!
我が家の赤ひげ先生が、元気で戻ってこられますよう、祈るしかありません。

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