珍しく、一番下の義姉一家が遊びに来た。
義姉は、年に数回は訪れるが、甥夫婦は珍しい。
生憎、息子は仕事で居なかったが、お嫁ちゃんも交えて賑やかな談笑タイム。
親族は煩わしいものだが、それでも会えば、楽しい。

帰りしな、私の書棚に目が向いた甥のお嫁ちゃん。
何やら、気になる作家の本があったようだ。
その中で、単発ものの作品を選んで、彼女に進呈した。

「おい! 中に、栞代わりにお札が挟んでないか、確かめてから、あげなよ!」

相変わらず、主人の冗談は、余り、面白くもない。(笑)

が、やはり、栞代わりにメモ用紙が挟んであった。
そして、鉛筆の走り書きが読めた。

14年、慣れ親しんだ、点字図書館で、対面朗読中に使っていたメモ用紙だ。
あそこでは、ボールペンではなく、鉛筆を使っていた。
懐かしくて、そのメモ用紙に書かれたものを読み返した。
そこには、

 美しき 誤算のひとつ われのみが 昂ぶりて逢い 重ねしことも

                    岸上大作

と書いてあった。
そして、21歳死亡 自ら封じる と、欄外にメモ書きが記されていた。

この14年の点字図書館におけるボランティアの仕事は、私に、別の世界を覗かせてくれた
貴重なものだった。
対面者の要望に沿った本は、そんなことでもない限り、絶対読まない本が多かったからだ。
短歌の世界もそうだ。
俵マチさんの本に始まって、短歌の面白みが分り始めた。
きっと、岸上さんの短歌も、そういう経路から読んだものなのだろう。

「恋と革命(安保闘争)」に散った歌人、岸上大作。

まだまだ、私の書棚には、埋もれている、お宝の栞があるかも・・・。(笑)

コメント

lister
2013年8月18日6:37

心を揺さぶられる素晴らしい歌です。岸上大作を初めて知りました。ありがとうございます。

loving-c.
loving-c.
2013年8月18日6:41

私も岸上大作を初めて知りました。本当に感動的な素晴らしい歌です。
ありがとうございます。

アミ
2013年8月18日8:34

listerさん!
loving-cさん!

凄く、切ない、心の歌ですよね~。
国学院大学で勉強の最中の死です。
何があったのでしょうか。
丁度、私より、ちょっと下の世代の方々は、安保闘争に明け暮れました。
何処の大学も、飛び火して、勉強にならなかったのでは・・・と思います。
でも、純粋だったんだろうと思います。
本当に、国を憂いていた行動だったのでは・・・と。

私も、対面者の要望の本で、初めて、岸上氏を知りました。
そこで、深い感銘を受けて、メモを残したのではと思います。
今、読み返しても、素晴らしい歌だと感じました。
コメント、有難うございます。
お礼を言うのは私のほうです。
岸上大作と言う歌人を忘れないようにしたいです。

マサムネ
2013年8月18日8:40

詩人は短命と聞き、我も若くしてチルナリ。と思っていましたがいやはやなんともこの年まで生きております。

詩人をかばうわけではないのですが生きるエネルギーを凝縮させると作品ができ

あがったあと、気力が消えてしまうのです。創作をやめればなんてことはないの

ですが、彼らにとっては作品こそが命ですからね。

栞の漢字はサザンの歌で知りました。

hana
2013年8月18日11:33

アミさん^^

紹介して下さってありがとうございます、
私もこの歌人を初めて知りました。
それにしても哀しいほどに純粋ですね。
私はまだ幼いでしたが、
「安保!反対!」のシュプレコールは未だに記憶の端っこに残っています。
たぶん、テレビが普及し始めた頃のことですよね。

私には後の学生運動がより鮮烈ですが、
アミさんのこのDNで思い出しました!
『二十歳の原点』高野悦子です。
何度も読みました。
青春には葛藤と性急さがつきものですが
自分を見つめる純粋な目はあの頃にしかないのだと
今になってつくづく思います。

アミ
2013年8月19日7:13

マサムネさん!

早くに散らないでください!(笑)
歌人が必ずしも短命とは限らないのでは・・・。
でも、確かに純粋ですね!

アミ
2013年8月19日7:15

hanaさん!

鉛筆の走り書きのメモがなければ、この歌人のことも埋もれていたかも・・・。(笑)
きっと、対面朗読で、読んでるとき、ピピッと何かを感じたのでしょうね~。
それで、急いでメモを。
最近は、感性も乏しくなり、何も反応しません。
寂しくなります!

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