パパの椅子～♬

2019年1月3日エッセイ

主人の趣味である神輿つくりも、大変なことになってきた。
初めの頃は、可愛い大きさだったが、最近は、町内の子供神輿より大きく
なったか…。
持ち上げるのも、一人ではできず、持て余し気味。
第一、置き場所に困る。
とうとう、客間が占領されて、床の間付きの和室は「神輿庫」と化した。(-_-;)

お正月、皆が集まる場所は…と、試行錯誤、リビングを模様替え。
今まで、壁に押し付けていたダイニングテーブルを真ん中に持ってきた。
何とか、子供を含め、総勢８人の場所がキープされた。
頭の中で考えている以上に、実際、やってみると、いける！
隣のキッチンから、料理も出しやすいし、主婦は客間に運ぶより、ずいぶんと
楽だ。(^_-)-☆
初めから、こうすればよかったのに…。(-_-;)

ところが、椅子は６脚しかない。
そこで、出てきたのが「パパ（孫たちの父＝私の次男坊）の椅子」だ。
息子が社会人になって初めての海外旅行の土産の椅子だ。
息子は、自分も学生時代、レスリングをしていたから、プロレスが大好き
なのだ。

なんでも、カナダの３都市（バンクーバー。モントリオール。トロント）で
開催されるプロレスツアーに参加。
件のパイプ椅子は会場で観客用に設定されている椅子で、次の会場からは、
銘々、その椅子を持参して観戦するのだそうな。
何とも、合理的と言うか…、外国的な考えで、笑わされた。

その椅子を後生大事に、抱えて帰国した息子。(笑)
よくもまぁ～、こんな椅子を持って、飛行機に乗れたものだ…と、皆で大笑い。
ところが、そのパイプ椅子。
中々の優れもので、重宝していた。
頑丈だし、クッションは堅い割には弾力があって、座り心地もまんざらでも
ないのだ。
今は、私のPCの前の椅子として、活躍中。

子供たち（孫たち）は父親のカナダの話は聞いていたらしいが、椅子の話は、
初めてだ…と、目を輝かす。
日頃見ている自分たちのパパの、知らない部分が聞けて、嬉しくてならない
様子だ。

椅子をしげしげとみていた孫が、

「あっ！　これ、パパが好きなTシャツのロゴと同じだ！」

「えっ！　まだ着てるの～？」

お洒落な息子にしては…と驚きつつも、まだ愛用してると言う、好きなものに
対する愛情の深さを感じた。

「カナダはどうだ～？　観光はしたのか～？」

と言う兄の問いに、

「プロレス観戦のみ…」

と、澄まして答える弟。
皆で、大笑い。
孫たちやお嫁ちゃんのパパを見る目の優しさが、私には一番、嬉しかった。

プロレス観戦のお土産のパイプ椅子。

私が大事に使わせてもらおう…。(^_-)-☆